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塵芥

ピクシブで参加している企画のことについてぼちぼち。

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【GTS】罪と罰【妄想】

・えんさんのエイプリルフールネタ「学園泰平記すずしろ」略してGTSから派生した妄想です。
・三次創作の妄想です。突っ走ってます。妄想の塊です。
・GTSの昔馴染組の話その4。 サトさんのブログ記事「依存」からの派生妄想。そっち読んでないと多分イミフ。
 モブとの話も含みます
・口調は本編とは全然違います。ご容赦を。
以上の事が許せるお方は以下からどうぞ。

問題があったら下げるか鍵つきにいたします。



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【神津泰朗】
 今確かに彼は名前で呼ばなかっただろうか。いつもは「神津」と呼ぶのに。なんだろう、今の彼はとても憔悴しているだけではなくて、酷く別人のように感じられて。袖を掴む手は力が入り、関節が白い。らしくない。
「三芳?」
 お前は、本当に俺の同僚だよな?そう問いたくて、名前を呼ぶ。
 彼の身体は痛みをこらえるように幽かに震えていて、ひどく――普段は小柄めな身体でもそんなことは一切感じさせないのに――頼りなさげに見えて。そっと左手をあげてぽんぽんと優しくその肩を叩く。三芳は目をつぶり、静かに深く呼吸をしていて、声を掛けてはいけない気がした。
 振り払われないってことは、これでいいんだろうな。と納得させながら一定の間隔でぽんぽんとたたき続ける。そうしてどれくらいの時間が経ったろうか。「すまない」と呟いて三芳が離れた。
「いきなりやってきて、こんな、すまなかった」
「良いよ別に、友達だろ?」
 本当はこんな風になった訳を訊きたくて訊きたくて仕方なかったけれども、きっとそれは踏み込んではいけない領域なのだと思う。三芳は話しているときにたまに遠くを見るような、懐かしんでいるのに少し切ないような、そんな顔をする時があって。そんな時も自分は何も聞けずに、踏み込めずに、見なかったふりをする。
 踏み込めないその領域にいつか踏み込めたらな、とは思っていた。いつか。そのいつかが今であったら良いのに、と思うほどに三芳は辛そうで。だけど自分がまだそこに踏み込むだけの資格がないことは良く解っている。まだ出会って一年も経っていないのに。
 大分仲は良くなったと思う、休日に遊ぶし、夜飲みにも行く。でも無遠慮に心の奥に踏み込めるほどの仲じゃない。きっと、三芳のいう「あの人」ならその位置に居られているんじゃないんだろうか。それなのに、「その人」は彼をこんなに苦しめて。
 こんなに辛そうなのに、助けてやれないんだろうか。本当に、昔から自分は情けない。いつも幼馴染に甘えてばかりで――幼馴染――?幼馴染なんていただろうか。子供の頃からの友人は居るけれども、幼馴染?その単語が妙に引っかかる。なんだろう、これは――。
「すまない」
 もう一度三芳は謝って、そして帰ると言って踵を返した。
「え?泊まっていかないの?」
「……それは、流石に迷惑だろう」
 いきなり来ておいて、とか言うのを引き留める。落ち着いたように見えるけれども、明らかにまだいつもの三芳ではなかった。
「いやいや、そこはほら、気にするなよ。ちょっと寒いかもだけど布団もちゃんと客用のあるし」
 一人にしたら彼は自分一人で抱え込むの だろうなと、それだけは解って。話を聞いてやることも、「あの人って誰?」とか「その人に何か酷い事言われたのか」とか訊くことも、彼の領域に踏み込んでやることも、出来ないのだけれども。でもせめて、傍に居てやるくらいは。
 誰でもなく、自分を頼ってきてくれたことが少し、いやかなり嬉しくて。ならせめてこれくらいはさせてくれたって良いんじゃないか?と思う。
「そんな申し訳なさそうにするなって。良いんだよ、友達なんだから」
 もう一度そう言うと、三芳はホッとしたような顔で「ありがとう」と言った。

 三芳の存在を気にしながらも驚くくらいよく眠れたその日の夢は、今まで見たこともないくらいの、満開の桜の夢で。
 その花霞の向こう、身長差のある二人の影が、並んで見えて――。
 影だけで、それが誰なのかとかは全然解らなかったのだけれども。
 また変な夢をみたなぁと起き上がってぼんやりしていたら、大丈夫か?と先に起きていた三芳に心配をされた。
「あーうん、平気。お前は――」
 大丈夫か?と言おうとして、やめた。大丈夫でも大丈夫でなくても彼はきっと「大丈夫」としか答えないだろうから。
「なんでもないや、おはよう、三芳」
「ああ、おはよう神津」
 その顔が少し晴れやかなものになっていたから、それだけで良い、と思った。 



【津田泰慶】
 出会わなければ良かったのだろうか。

 飽くまで平静を装いながらも「それじゃあまた」と笑う顔にはどこか影があった。彼はもう泰慶が意図的に何かを隠していることに気がついているだろう。学生の時分から言葉の端や言い回しに敏感だった。自分も警察官になって嘘なのか本音なのかをはぐらかす癖がついてしまって、それが景成を余計不安にさせているようだった。この点に関しては自分が悪いので何も言えない。
 ただそれでも「彼女」の存在だけはどうしても話せなかった。
 「彼女」の存在によって「三芳景成」がどれほど思い悩み、傷つき、葛藤していたかを知っている。今の彼は記憶と現在の自分を全くの別人だと認識しているから、話したところで何か問題が起きるとは限らない。ただ、もしそれを知ることによって、景成があの時みたいに苦しむとしたら。
 それは泰慶の本意ではない。「記憶」の話が共有できて嬉しかったあの頃とは違う。三芳の「記憶」に対するスタンスはしっかり確立されたのだから、それを無闇に掻き乱すことはしてはならない。
 三芳もまた、泰慶のそんな立ち位置に気がついているのだろう。意図的にシャットダウンしていることに気がつきながらも、何も聞いてはこなかった。
 お互い、相手を変な風に思いやって勝手に傷ついている。悪意の全くない行為だからこそ、相手を責められずに余計に心の中に押し込めなくてはならない。
 こんなはずではなかったのに。
 自分はただ、ほんの少し秘密を共有できる相手が欲しかっただけなのだと思う。それなのにこんな、誰かを傷つけて。
 自分のことしか考えてないところは何も変わりはしない。もう少し思慮深く行動できなかったのか。彼の姿をみかけた時に、本当にうれしくて。ただ少し、話がしたくて。ほんの僅かでも共有出来ないかと期待して。本当に馬鹿だ。あんな顔をさせたかった訳ではないのに。
 泰慶にとって記憶の自分はもうほぼ自分と同一のものになっている。子供の頃から「記憶」と共にあるからだろう。だけど三芳は違う。彼は泰慶と出会うまで何も覚えていなかった。彼のスイッチをオンにしてしまったのは泰慶だ。だからたまに、出会わなければ良かったのかもしれないと思うことがある。もしも会ってしまったなら、自分は声をかけずにはいられないだろうから。出会いさえしなかったら、三芳をこんなに苦しませなかったのに、と。
 そう思うのに、苦しみから解放してやりたいと思うのに。出会う前に戻ることはおろか、出会わなかったら、を想定することが出来ない。「記憶」が出会うきっかけではあったが、もはやそれ抜きで三芳はあまり執着のない泰慶の掛け替えのない友人になっていた。縁を切ることなど、出来ない。
 そうして、また自分のわがままで誰かに痛みを強いるのだ。
 自分は、本当にどうしようもない大馬鹿野郎で。
「ごめんな」
 その謝罪は少し冷え始めた夜の空気に溶けて、霧散する。届かぬ謝罪に意味などない。これもただの自己満足。
 滅多に吸わぬ煙草に火をつけたいと思いながら、路上喫煙禁止、と警察官らしい思考が働いて、心の内にある靄を吐き出す手段を失った。
 今日は、きっと辛い「記憶」の夢を見るのだろう。
 それは自分勝手でわがままな自分への罰に他ならない。
 

・こんな描写ですが泰朗は決して「記憶」の詳細は思い出しません。
 景成殿と泰慶が並んでいる姿を見ればもしかしたら、という感じですが泰慶が彼に会いに行くことはないので。
・このあともっと友達になりたいな―、とお互い名前で呼び合えるように親しくなろう!と頑張る泰朗の姿があったとかなかったとか。
・ひとりでもだもだうじうじ考えるのはもう泰慶なので仕方ないです。
  

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