塵芥
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【泰平記】えあかぷ4
- 2013/04/09 (Tue) |
- 泰平記 |
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人というのは笑顔が良い。憂い顔や泣き顔が美しい、とよく絵には描かれるしその気持ちも解らぬではないが、やはり見るなら笑顔が良い。
一ノ蔵嵐を見ていると特に思う。昔はもっところころと笑う少女だったように記憶しているのに、彼女はどうしてああもはかなげな、何かを堪えるような顔をするようになってしまったのか。 いや、今でも彼女は「何故そんなことで!?」というような些細な事で笑うから、よく笑ってはいる。ただ、その時以外の表情がなんとも言えず幸薄そうな、寂しげなもので心に深く残ってしまう。
両親を立て続けに亡くしてからだろうか、弟が消息不明になったからだろうか、それともそれより遥か昔から兆候はあったのか。彼女の幼馴染ならば解ったかもしれないが、何しろ自分は彼女とは十以上も歳が離れており、かつ己はあまり周りを見ているような男ではなかった。
憶測はいくらでも出来る。だが確信は得られない。恐らくそれはお節介などで踏み入ってよい領域ではないのだ。だがどうしてもあの顔を見ているのは辛い。二十と少しの娘が、あんな顔をしているのは幸せなことではなかろう、と勝手に思ってしまうのは、己の歳故か、古い考え方なのか。
幸いにも愚か過ぎた自身の過去は、どうやら彼女を笑わせるには最適なものであるらしく、彼女を見ていて耐え切れず笑えと強く思った時に、わざとその話題を振るようになった。
景成には「笑わせているのではなく、笑われているのだろう」と呆れられたが、それであいつが笑うのならば、俺は笑われていても構わない。
腹を押さえて嵐が笑う、それを見た黄泉に「またあんたは!」と追い掛けられる、また嵐が笑う。それで、良い。 笑っている間なら、何か難しく考えなくても良いだろう?だからお前はそうやって笑えば良い。
――わらえわらえ
