塵芥
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【GTS】「記憶」と出会う【妄想】
- 2013/04/17 (Wed) |
- GTS |
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えんさんのエイプリルフールネタ「学園泰平記すずしろ」略してGTSから派生した妄想です。
三次創作レベルの妄想です。酷く突っ走ってます。
GTSの昔馴染組の再会の話です。
口調は初対面ですから、はい、本編とは全然違います。すみませんご容赦を。
以上の事が許せるお方は以下からどうぞ。
問題があったら下げるか鍵つきにいたします。
三次創作レベルの妄想です。酷く突っ走ってます。
GTSの昔馴染組の再会の話です。
口調は初対面ですから、はい、本編とは全然違います。すみませんご容赦を。
以上の事が許せるお方は以下からどうぞ。
問題があったら下げるか鍵つきにいたします。
子供の時から常に違和感と共に過ごしてきた。
友達と遊んでいても、学校にいても何か物足りない。誰かいない、何かが足りない気がするという奇妙な感覚。同時に、悪夢によくうなされる子供だった。――恐ろしい妖怪、血の海、女の人と子供の遺体、右目が潰される、火薬の匂い、日の昇らぬ光景――。
どれもこれも連続はして居らず、内容は朧気かつ断片的な映像で、だからこそ意味が解らなくてとても恐ろしく、眠るのをとても怖がる子供だった。両親は頻繁に悪夢を見てしまう泰慶を可哀想に思ってか、よく一緒に寝てくれたりしたのだが、それでも悪夢は終わらなかった。
どれもこれも連続はして居らず、内容は朧気かつ断片的な映像で、だからこそ意味が解らなくてとても恐ろしく、眠るのをとても怖がる子供だった。両親は頻繁に悪夢を見てしまう泰慶を可哀想に思ってか、よく一緒に寝てくれたりしたのだが、それでも悪夢は終わらなかった。
小学校中学年になると、夢は恐ろしいものだけではなくなっていた。――狂い咲く桜、自分を慕う青年、悪夢でも見たたおやかに笑う女性、髪を一つに縛った男、明るく笑う緑の髪の――。
なんだかよく解らなくて、それなのに夢を重ねる度にそれらの固有名詞まで「思い出す」ようになり、自分の頭がおかしいのだと真剣に悩んだ。けれども誰かに話すことはなく、普通に学校に通い生活をした。話したところで漫画の読みすぎ、ゲームの影響などと言われるだけなのは明白だったからだ。それくらいには自分の夢が荒唐無稽だということは解っていた。
ただ優しい「記憶」とそれぞれの名前を思い出していくと意味不明だった夢がだんだんと意味を持ち始め、繋がっていくようになったおかげか、中学生の頃には悩んだり塞ぎ込んだりすることは少なくなっていった。
「記憶」が日々補完されていくにつれ、夢の中の映像を見ているのは明らかに自分で、恐ろしい記憶も暖かい記憶も全ては自分の記憶――自分の体験したことなんだとすとんと腑に落ちるようになっていった。前世なのかはたまた違う世界の自分なのか、そんな事はどうでもよかった。夢の中の男は自分なのだ。それだけで悪夢は悪夢でなくなり、ただそれは「記憶」をなぞるだけのものとなった。
恐怖はなくなった。しかしその代わりに一抹の寂しさと空虚感を感じるようになった。
いくらもう一人の自分だと認識していても、その記憶は現代社会では妄想に他ならない。現実には彼等はいない。手合わせした悪ガキ共も、初めて心を開けた女性も、弟も、逃げ回る迷子も、二度目の恋をした彼女も、酒を酌み交わし音楽を奏でた友も。全ては夢の中の人物、夢の中の出来事。
今の自分は夢の中のように充実しているだろうか。彼等ほどの繋がりを持てている友人達は居るだろうか。その答えは常に否だ。妄想だ、居るわけがない。そう思いながらもどこかで彼等と再び会えないかと切望もしていた。全く、馬鹿げた考えだと思う。しかし中高生の若さ故、その妄想は止められなかった。
そんな思いを抱えながらも日々は過ぎる。もう一つの「記憶」では結婚をしていた年齢も子供を授かった年齢も追い越して、大学で就職やら卒業やらを考えるようになっていた。もうすでに単位数は足りていたが、払っている分の授業料の元は取りたいと、自分はそこそこに授業を入れる奇特な学生になっていた。
実際なにもせずに遊び回るより、新しいことを知る方が楽しい。授業も勉強も全然苦ではなかった。心理、経済、文化人類、経営、戦争論、法律と興味のあるものなら一般教養枠であるのを良いことに、一年生の時からあらゆる分野の授業を受けていた。もう一人の「記憶」がもたらす空虚感を、授業を詰めて考える時間を少なくすることで埋めていたのかも知れない。四年次のくせに一般教養の授業を三つも取って、友人達には笑われた。
だが、それでよかったのだ。
今でも忘れる事はない。古典の、和歌の授業だった。一二年生が多くざわついている教室の片隅で、一人教科書がわりの資料を黙々と読んでいるその青年を見つけた瞬間を。
鞄が手から摺り抜け、呆然と立ち尽くす。長年、夢の中で見つづけた「幼馴染」がそこにはいて。
何度も何度も見返してしまった。傍から見たらさぞ自分は滑稽だっただろう。だけどそうせざるを得なかった
国家公務員試験の勉強で、少なからずストレスを溜めていた自分が見た幻か白昼夢ではないかと思ってしまったのだ。どうする?と思ってもどうにもすることはできない。
彼が記憶の「幼馴染」だという証拠はない。外見が似ているだけの可能性の方が遥かに高い。ちらと見えたシラバスから学部も学年も違うことが伺えたせいで、余計に声などかけられなかった。結局その日は、いやそれから二ヶ月はその存在が気になりながらも、何もコンタクトを取るほどの確信が持てないまま、非常にもやもやとしたまま授業に参加する羽目になった。
そして似た人物に出会ってしまっただろうか、ぼちぼちと欠けがあった「記憶」はそれを機にほぼ完全に思い出せてしまった。余計にもやもやが募る。彼は外見が似ているだけの他人なのか、それとも本当にあの「幼馴染」なのか。それを確かめたくて確かめてくて、だけれども妄想や夢の話でしかない「記憶」を少しでも現実世界に持ち込むのは怖かった。
契機は、夏の試験期間前にに訪れた。
購買部で参考書を前に法律に関する参考書でああでもないこちらでもないと吟味している様子の彼を見かけた。少々強引ではあるが、小さな機会でも逃してはいけない、と意を決して行動を起こした。「記憶」の自分が背を押す。
「そんなに悩むなら図書館行けよ」
「え?」
いきなり話しかけられて、彼は戸惑ったように見えた。その反応は予想通りだったので、気にせず続ける。ああ、「記憶」通りの身長差だ。
「参考書なら過去のやつが図書館に入ってる。そっちで見比べてから買っても遅くない」
「図書館にはそんなのもあるんです、か?」
「まぁ大学の図書館だしな?あぁ、本館の方じゃないD館の方だ」
言うと、彼は少し困ったように「D館、ですか」と言った。
「D館の図書館、知らないか?」
「そっちの方にはあまり行かないので……」
初めて見かけた日に見えたシラバスはそういえば一年次のものだったか。それならこの広い敷地内を把握できていなくても仕方ないだろう。
「連れてってやろうか?」
「あ、いや自分で探してみます。そこまでは」
「こういう時は知ってる人間を使えば良いんだよ。というか四年だから暇なんだ。暇潰しに付き合ってくれ」
「暇潰し、ですか」
「そ、暇潰し」
そこまで言うと、彼はようやく「ではお願いします」と「記憶」通りの顔で笑った。
D館までの間に、さりげなく名前を聞き出す。こんな時に「記憶」の自分の話術が役に立つ。
同じ授業取ってるの知ってるか?俺は記憶力良い方だからさ。一年生か?残念、違う学部だな。この大学広いからな迷うだろう?あの学部ならこっちあんまり来ないよなぁ。ああ、そうだ、お前名前は?俺は津田泰慶って言うんだ。
自分の名を名乗ったときにどう反応をするのかを伺いながら、名を名乗る。彼は特段泰慶の名には引っかからなかったようだ。その反応に少しだけがっかりしたが、その気持ちは彼の名を聞いたときに消し飛んだ。
「あ、俺は三芳です。三芳景成と言います」
――動揺を、見せるわけにはいかない。
「古風で良い名前だな」
「良い名前ですか?普通ですよ」
「普通が一番さ。俺の名前はなんか浮いてなぁ。変だろう?」
「……変わってるな、とは思いますが。『やすのぶ』ではないんだな、くらいしか思いませんよ」
ああ、そんな名前で呼ばれた時期もあったよ、とは言えずに飲み込む。名前も姿も一緒なのに、彼は泰慶の存在に何か思うところはないように見えて、やはり違うのだろうか、と思う。そんな偶然なんて残酷だとなとは思うが、元々の「記憶」自体が夢なのだ。現実が偶然の一致をしたところで、それが本当になったわけではないのだ。
もし彼も「記憶」を持っていたら、ようやく自分の空虚感が埋まるかも知れないなどと勝手に期待をしていた自分が愚かなだけだ。諦めようとしていたその時、少しずつ三芳の言葉が少なくなっている事に気がついた。どうしたことか、三芳は口を開こうとしては言い淀み、また考える。まさか。
「あの、津田さん」
「ん?」
「あ……いや、なんでもない、です」
「お前それは一番気になるパターンだろー。言えよー、眠れなくなるわ!」
「え、いやそんなつもりは……!その、笑われるかもと」
「笑わねえ、笑わねえ」
「…………」
「マジだって」
まさか、と逸る気持ちを抑えつける。そうだと決まったわけではない。ああ、だけれども、少しでも引っかかってくれたのならば――。
三芳は少し考えた後、不安そうに尋ねてきた。
「津田さんと俺は、どこかで会った事がありませんでしたか?」
ずわ、ともう一つの「記憶」が一斉に脳裏を駆け巡る。会っている。会っているよ、それはここではない、一年中桜が咲き誇る場所でだけれども。流石にそんなことは口に出来ない。逡巡のための沈黙を三芳はどう取ったのか、急いで取り繕ってきた。
「すみません、変なことを。でも何故だかそんな気がしてならないんです」
喜びが――もしかしてお前はあいつなのか、本当に名前と姿だけじゃなくあの「幼馴染」なのかという思いがせりあがるのをぐっと堪える。
「もしかしたら、そんな事もあったかもなぁ」
「どこで」
「おーし着いたぜ」
意図的に三芳の言葉を句切る。これ以上自分の、もう一つの「記憶」の事を押さえつけて会話を出来る自信がなかった。
「手続きは本館と変わらねえ、ちょっと書架がみづらいけどご愛嬌ってやつかな。ほれ、探してこい」
「あ、はい。ありがとうございました」
「それじゃあなー」
「津田さん、あの」
「また授業でな、三芳」
話を途中で切られ、不満げだった三芳は最後の言葉で少しホッとしたようだった。
「はい。俺は、津田さんに聞きたいことが出来たので是非また」
去り際にそう言われ、期待が生まれる。もしもそうなら、彼が「幼馴染」なら、なんて素敵な事だろう。だってそれは「記憶」が妄想でも夢でもなく、現実であったと、嘘ではなかったということで。
過度な期待は裏切られるだけとは知りながらも、逸る気持ちを留めることはできない。
「景成」
誰もいない廊下を進みながら記憶の中、唯一無二の友人の名を呼んだ。
幼馴染じゃない始まり方って良いんじゃないかなって思って捏造してみました。
よく一緒に居た人が居なくなるって喪失感半端ないよね。
この泰慶の必死さなんなの気持ち悪いって思うけれども、「記憶」のせいで凄く寂しかったんです。きっとそうです。なので許して上げてください。
